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リレーコラムRelay column

リレーコラム

私の介護夢

私は認知症の高齢者のお世話をする介護技能実習生です。小さい時は祖父に育てられました。祖父は病気でずっと寝込んでおり。介護に関する知識が不足している私は祖父の世話をする事が満足にできないまま、祖父が亡くなってしまいました。私はショックを受けて後悔し、もしその時の自分がもっと介護の知識があったら、祖父はもう少し楽になったじゃないかなと思いました。それで大学入試の時、介護を専攻することにしました。介護の勉強をする事で、祖父のように介護が必要な高齢者に寄り添い、楽しいことをしてあげたくて、高齢者が元気よく、幸せな老後生活を過ごしてほしいと思っていました。私は日本の介護技術を習得したいと願い、色々な逆境を乗り越えて、やっと夢が叶い、切望した日本の介護施設に来ることができました。

初めて現場に入った日は、とても緊張し不安でした。利用者の状態を見てびっくりした。おしゃれな服を着て、化粧も綺麗にして、挨拶をすると頷いて笑顔でこんにちはと答えてくれました。癒される笑顔を見て、緊張感が消えました。私の指導員は利用者の好みと特徴を知っているだけではなく、「人格尊重と自立支援」が大切だと教えてくれました。その時はよく理解できませんでした。Aさんに会ってから、その意味がよくわかりました。
Aさんは今年92歳で、認知症に苦しんでいて、あまり喋られません。いつもぼんやりとしているAさんは、病気の時の祖父のように孤独でくぼんだ目をしていました。Aさんは失禁している事が多く、それを始めて見た時の忘れがたい事がありました。その日、部屋でとてもひどい便の匂いがしました。シーツやカバーや服も便で汚れていました。引き出しの中に汚れたオムツを見つけた時、困ったような目付きで私を見ていました。どうしたらいいか分からない時、指導員が来ました、自然に屈んで、笑顔でAさんの手を握って「Aさん、こんにちは。服が少し汚れているようなので、きれいな服に着替えましょう」と言ってあげたら、指導員はAさんが自分で上服を着替えるように励ましてあげていました。Aさんの自理能力を立ち直らせるために、着替えながら楽しくおじゃべりをしていました。Aさんの目から恐怖感がだんだん消えました、最後に綺麗な笑顔が出てきました。その瞬間、「人格尊重と自立支援」の意味がよく理解できました。この出来事は私の心に深く響きました。

時間が流れ。実習生として二年になりました。介護は思ったほど簡単ではありません。ここで積んだ経験は私の人生観を豊かにできます。疲れていても、この仕事が止めがたい、やりがいがある仕事だと思っています。三年間の実習が速いです。もっと多く日本の介護技術を勉強したいです。いつか日本の介護サービス理念を中国に持ち帰り、たくさんの中国の介護士に伝えて、もっと多く高齢者の老後生活を幸せにしてあげたいと思います。

(任静/えひめ介護ネットワーク協同組合/社会福祉法人白寿会 介護老人保健施設れんげ荘)

※2021年度、愛媛県外国人技能実習生受入組合協議会では、県内の技能実習生を対象とした日本語作文コンクールを実施しています。任静さんの作品は最優秀賞に選ばれたものです。
愛媛県中小企業団体中央会HP http://bp-ehime.or.jp/
なお、作品集は愛媛県国際交流協会でも閲覧することができます。

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