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リレーコラムRelay column

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捨てたらアカン

ルーカスさん

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マリンパークの西側、みなさんが海水浴するビーチから少し離れているところに、小さくて静かな砂浜があるのをご存知ですか。よく晴れた日には、そこから西側に住友の工場群が見えます。夕暮れ時に浮かびあがるそのシルエットは本当にすばらしく幻想的です。波打ち際では、ヤドカリやカニなどの小さな生き物を探したり、散歩したりできます。のんびりと過ごせる、のどかな砂浜です。ぼくのお気に入りの場所、誰にも教えたくないちょっとした隠れ家のような場所です。

こんな素晴らしい砂浜を台無しにしているものがあります。それはゴミです。ゴミが多すぎるのです。ポカリスエットのペットボトル、ボスコーヒーの空き缶、コンビニ弁当のプラ容器など、挙げたらキリがありません。それらのゴミが砂浜に帯を作ったように打ち上げられ、満潮時に波がどこまであったか、はっきりわかります。ひどいです。

ぼくにはさっぱりわかりません。新居浜市のごみ分別辞典は23ページもあります。日本に初めて来たとき、このおそろしいほど細かいゴミの分別に本当におどろきました。アメリカではこんな分け方は考えられません。やっぱり日本ってすごいと感心したものでした。しかし、こんなにすばらしいシステムがあるのに、どうしてたくさんのゴミが落ちているのですか。それに、落ちているのはゴミだけではありません。なんとイヌやネコまで落ちています。

ぼくの妻は、先ほど初級Aの部で「みんなでノラネコをすくおう!」というスピーチをしたセレストですが、彼女は先日すてネコを三匹ひろいました。無責任に捨てられた、小さく無力な生き物を、見て見ぬふりはできません。ぼくがネコアレルギーなのに、ひろったのです。そして、自己負担で避妊手術をして里親を探しました。どうしてそこまでするのと不思議に思った方もいるでしょう。

生き物に対しても、物に対しても、僕たちには責任があります。なんでもかんでも自分勝手にポイポイと捨てたらダメなのです。自分勝手に捨てないという一人ひとりの責任感が、動物保護に、環境保護につながっていきます。一人でできることなんて、たかがしれているじゃないか。どうせ他の人が捨てるんじゃないか。そう思っている人もいるかもしれないですね。しかし、あきらめたらダメです。捨てたらアカン。あきらめたらアカン。

あきらめないで、ぼくたちはぼくたちにできることをひとつずつやっていきましょう。そして、一緒にぼくたちの愛する新居浜を、素敵な町にしていきましょう。

(ルーカス・ヘイクス(アメリカ))

 

※平成30年7月8日には、にいはま日本語の会の主催による『日本語学習者による第16回日本語スピーチコンテスト』が行われました。
受賞された4名の方々の作品を順次掲載します。なお、ルーカスさんは中級部門の1位に選ばれました。

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